モントリヒト城の吸血鬼①~ヴァンパイアの花嫁~
「…まさか、ベリー・シャム、
ですか?」

「知ってるの?」

「ええ。飲んだことは
ありませんが…チェーニでは
高級茶として貴婦人に
人気のお茶です。
ですが、この国では
手に入らないでしょう。
チェーニでも、王族でも
ない限り滅多に手に入らない
逸品ですよ。…一体、
どうしたのですか?」

「お母様が好きで、
わたしもお姉さまも
小さい頃から一緒に
育てて、飲んでるの。」

「…育て方は門外不出で、
苗も専門家しか手に
入れられない物だと…。」

「以前、お父様が、お母様を
喜ばせるためにタネと
育て方のレシピを譲って
もらってきたって。」

…何という父親だ。

ノークスは心の中で
呟かずにはいられなかった。

沙羅と姫乃の父親は
一体どういう素性の
人間だったのだろう。
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