モントリヒト城の吸血鬼①~ヴァンパイアの花嫁~
邪魔をするなと凍夜が
怒るかと思い、ちらりと
彼を盗み見る。

案の定、気難しそうな
顔をしていた彼は、
しかしまったく予想外の
言葉を口にした。

「誰。」

「は?」
「え?」

凍夜の突然の問いかけが
緊迫した空気をあっさり破った。

ノークスも姫乃も、ふたり
揃って気の抜けた返事を返した。

「キミの初恋の相手。誰。」

「え?は、つこい…って。
え、と…。」

まじめな顔で聞かれた姫乃は、
予想外の場所から向けられた
矛先に、完全に対応できず
困り果てる。
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