モントリヒト城の吸血鬼①~ヴァンパイアの花嫁~
「その様子では、
その年で恋もまだ
ですか。」

「な、こ、恋は
わからないけど、
初恋の人ぐらいいるわ!」

バカにしたノークスの
言い方に、ムキになった
姫乃が支離滅裂な
反論で返した。


…恋がわからないのに、
何をもって初恋と
言い張る気なのか。


「誰?」

三度、凍夜が問いかける。

「は、え、えと…。」

問いを重ねるたびに
不機嫌になっていく
凍夜から目をそらして
姫乃は答えた。

「ええと…あ、そ、そう、
小さい頃、家庭教師の先生に、
大きくなったら結婚して
あげるって言ったことが…。」

嘘ではないが、何かを
隠そうとするいい方だと、
ノークスはもちろん、
凍夜もすぐに見抜く。
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