モントリヒト城の吸血鬼①~ヴァンパイアの花嫁~
「…そんな、王様側の
都合のいいように
作られた子供だましの
作り話で覇王を
バカにしないで。」

「…作り話、ですか?」

「そうよ。その話は、
自分の無能を棚に上げた
王様やその側近が事実を
隠匿して作った話なんだから。」

「ほう。」

「漆黒の覇王は、王の
治世が悪化するさなか、
各地で起きた内乱を鎮め、
領地の区別なく民を
守ったのよ。大勢の
敵の中にその身一つで
立ち向かっていく、
とても強くて素敵な
人なんだから。きちんと
史実を確認すれば、
わかることよ。」

「…素敵…ですか…
そうですか…。」

必死に笑いを飲み込みながら、
ちらりと凍夜を見れば、
余計なことを言うなと
視線でクギを刺された。

「まぁ、史実がすべて
真実を語っているとは
限りませんがね。」

そう、余計にならない
程度の感想を漏らす。
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