モントリヒト城の吸血鬼①~ヴァンパイアの花嫁~

ドレス―ノークス

自分に相当な警戒心を持っている
少女を凍夜の部屋から連れ出すのは無理かと
思っていたノークスは、意外にもあっさり
出てきた少女に少し驚いた。

朝食をとらせたたことといい、
凍夜はうまく少女の信用を
得ているのかもしれない。

下手をすればシーツのまま出てくるかと
思っていたのにきちんと用意されたドレスを
着ているのも、凍夜のおかげだろう。

「ほぅ。」

自分の用意したドレスを着た少女に、
ノークスは無意識に満足気なため息を漏らす。

自分のセンスには自信があったが、
これは予想以上に出来がいい。

ちらりと向かいに座る凍夜をみれば、
彼の視線は少女を食い入るように捕えたままだった。

「悪くない出来だと思いませんか?凍夜。」

少なくとも、キミが見惚れるほどには。と、
下手に口に出すと席をはずしかねないので
心の中でつけたす。
< 32 / 726 >

この作品をシェア

pagetop