モントリヒト城の吸血鬼①~ヴァンパイアの花嫁~
そう言って、ノークスが
姫乃の妹のところへ
泊りこみに行った
翌日の朝食後。

今まさに、凍夜の混乱と
苛立ちはピークに達していた。

昨日、まる一日部屋に
こもった姫乃は、
今朝になって何事も
なかったかのように
笑顔で部屋から出てきた。

泣きはらして赤く
腫れていた目元もいつもと
変わらないから、
夕べは泣いて過ごすような
ことはしなかったのだろう。

まだ、若干元気が
ないようには見えたが、
それでもいつもと
変わらない程度には
笑顔を見せる姫乃に
凍夜は一応安堵した。


…あるいはノークスならば、
それが虚勢でしかないと
すぐに気付いたかもしれないが。
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