モントリヒト城の吸血鬼①~ヴァンパイアの花嫁~
しかし、これまで他人と
接することをあまり
好まなかった凍夜は、
その笑顔に騙された。

天気のことや、食材に
関する感想などの
何気ない雑談を
交わしながら、
朝食を終える。

いつも通りだ、と
思いながらも、凍夜は
違和感をぬぐえなかった。



…何かが、おかしい。



まだ体調がすぐれないからと
姫乃が言うので、日課の
散歩はやめにしようと決める。

なら、凍夜の部屋で本でも
読んで過ごそうと提案
しかけたところで。



…一度も、姫乃と目が合っていない。



そう、気付いた。


いや、彼女が、目を、合わせない。



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