モントリヒト城の吸血鬼①~ヴァンパイアの花嫁~
「この調子では、
姫乃はいつ殺されても
おかしくないようですね。」

…わたしを、殺す…?

物騒な会話に、
姫乃は息をひそめる。

「…そうそう、初恋と
いえば、昔、リターチと
いう女がいましたね。」

「…。」

「ああ、キミの初恋の
相手はリターチの
方でしたね。せっかく
珍しくお気に入りの
餌だったのに、
キミが欲情して
殺してしまった。」

リターチ、という名が
耳に残ったのは、
その名を聞いた瞬間、
凍夜の表情が苦しげに
曇ったからだ。

急速に、頭の中が
回り始める。



凍夜の、初恋の、相手…。



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