モントリヒト城の吸血鬼①~ヴァンパイアの花嫁~
「今の状況は彼女の時と
ずいぶん似ている。
姫乃が彼女の二の舞に
ならなければいいですがね。」

「僕は姫乃を殺す気はない。」

「どうでしょう。僕に
譲れと言うだけ気に入って
いるのですから、うっかり
リターチのように殺して
しまうのでは?」

殺してしまうとわかって
いながら、欲情して
しまうほど、好きな相手…。

もういない相手だと頭で
わかっているのに、
何故か姫乃の心中は
もやもやしてしまう。

「リターチは殺しても
いいと思ったから
抱いたんだよ。
勝手に過去を
ねつ造しないで
くれる。」

真っ白になる
目の前と反比例して、
真っ黒なものが、
心の中でうごめいた。

殺してしまうと
わかっていても
求めずには
いられなかった人…?
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