モントリヒト城の吸血鬼①~ヴァンパイアの花嫁~
「…せいぜい、姫乃の
機嫌をとって餌としての
役目を果たさせてください。
キミが姫乃に優しくすれば
するほど、姫乃は
美味しい血を提供して
くれるようですから。
くれぐれも殺して
しまわないでください。
大事な餌に何かあれば、
僕よりも偏食家のキミの
方が困るんですからね。」

そう吐き捨てて、
ノークスは回廊の
向こうへ消えた。

「…。」

しばらく黙って立って
いた凍夜も同じ方向に
立ち去る。

そんな二人を、
呆然と見送っていた
姫乃はその場に崩れ落ちた。
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