モントリヒト城の吸血鬼①~ヴァンパイアの花嫁~
「ほら、この香味焼き、使ってるでしょ?
昔、吸血鬼はガーリックが嫌いって本で
読んだことがあったから…。」

さっきまで、倒れそうな顔をしていたくせに、
早くも持ち前の好奇心が顔を出したらしい。

「僕は嫌いじゃないよ。というか、
僕に好き嫌いなんてない。」

「くっっ。」

凍夜の受け答えを聞いて、ノークスが軽く
吹き出すので、ムッとして睨みつける。

「とんでもない偏食家のくせによくもまぁ。」

「ないよ。好き嫌いなんて。」

「ふ。いいことを教えてあげましょうか、お嬢さん。」

凍夜を無視して、ノークスは少女に話しかける。

「我々吸血鬼に苦手なモノなどありません。
少なくとも貴女が認識している吸血鬼の弱点など、
我々には何の効果もない。」
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