モントリヒト城の吸血鬼①~ヴァンパイアの花嫁~

焦り―ノークス

凍夜に様子を見るよう促して、
一晩あけてから日が暮れる
頃戻ったノークスは、
瞬時に自分がとるべき
行動を見誤ったと悟った。

凍夜が、機嫌が悪いのは
予想していたことだが、
その予想を上回る不機嫌さだ。

そして、何よりまずいと
感じたのは、姫乃の方だ。

二人きりに、するべきでは
なかった。

心から、後悔する。

ノークスと話を交わす間中、
姫乃は、笑っていた。

笑みを絶やさない。




…作り物の、笑みを。
< 351 / 726 >

この作品をシェア

pagetop