モントリヒト城の吸血鬼①~ヴァンパイアの花嫁~
…問題は、味に
うるさい凍夜だ。

いつもほどではないが、
それでもそこいらの
女より圧倒的に美味い
姫乃の血を飲みながら、
ノークスは意識を
切り替えた。

凍夜の味覚は他の
吸血鬼の比ではない。

彼は血から感情を読み
取れる分、微妙な味の
変化にも敏感だ。

ノークスが気にならない
味でも、凍夜が
ごまかされてくれるとは
限らない。

ちなみに、その凍夜本人は
ノークスが夕食を始めてから、
ずっと部屋の壁にもたれて
こちらを見ている。

ただ見ているだけならまだしも、
ノークスが姫乃に触れるたびに
表情が険しいものになるの
だから性質が悪い。

先ほど、姫乃が気持ちいいと
つぶやいたときなど、
殺気が膨れ上がった。
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