モントリヒト城の吸血鬼①~ヴァンパイアの花嫁~
「…凍夜。どうせ機嫌を直す
気がないのなら、さっさと
食事を済ませて部屋に
戻ったらどうです。」

ノークスが血を飲み
終わってもまだ睨み
続けている凍夜に
声をかける。

どういうわけか、姫乃が
異常に動揺したが、
ノークスはあえて
気付かないふりをした。

凍夜も姫乃のその様子に
気付いたようで、
ただでさえ険しい表情が
さらに不機嫌さを増した。

数秒の逡巡の後、
こちらにちかづいてくる。

「…。」

姫乃は、凍夜には一切
視線を向けようとせず、
ノークスの食事の後を
見つめていた。

< 357 / 726 >

この作品をシェア

pagetop