モントリヒト城の吸血鬼①~ヴァンパイアの花嫁~
心配事―沙羅
「お姉さま…お茶の
おかわり、のんで。」
沙羅は、淹れたての
優しい香りのする
お茶を姫乃に勧めた。
ここ数週間、朔夜が
何に悩んでいるのか、
ずっと気になってはいたが、
いざそれに直面すると、
沙羅も何もできないと
改めて思う。
朔夜も、沙羅にどうにか
できると思って姫乃を
ここに寄こした
わけではない。
彼は、自身が講じることの
できる策はすべて試して、
その上でどうにも
できないと判断した
らしかった。
そう判断しておいて、
それでも匙を投げて
しまえないのは、
ちょっと意地悪な言動で
隠されている朔夜の本性が、
いわゆるお人好しの
部類にあたるからだと
沙羅は感じている。
おかわり、のんで。」
沙羅は、淹れたての
優しい香りのする
お茶を姫乃に勧めた。
ここ数週間、朔夜が
何に悩んでいるのか、
ずっと気になってはいたが、
いざそれに直面すると、
沙羅も何もできないと
改めて思う。
朔夜も、沙羅にどうにか
できると思って姫乃を
ここに寄こした
わけではない。
彼は、自身が講じることの
できる策はすべて試して、
その上でどうにも
できないと判断した
らしかった。
そう判断しておいて、
それでも匙を投げて
しまえないのは、
ちょっと意地悪な言動で
隠されている朔夜の本性が、
いわゆるお人好しの
部類にあたるからだと
沙羅は感じている。