モントリヒト城の吸血鬼①~ヴァンパイアの花嫁~
「…。」


一人にすれば、
泣いて少しは楽になる?


向こうにいるのが辛いなら、
もう帰ってくればいいのに。


わたしにできることは
何かない?


いろいろな言葉が
頭の中に浮かんだけれど、
どれも口に出すことが
できなかった。

姫乃が教えてくれないのは、
沙羅に話しても沙羅を
困らせるだけだと
わかっているからだ。

姫乃にとって、沙羅は
守るべき妹で、
頼ることができる
存在じゃない。

それを沙羅は
よく知っている。

せめて、誰かが、
姉を守ってくれたなら。



…気が合うという、
朔夜の双子の兄は、
姫乃を助けては
くれないのだろうか。
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