モントリヒト城の吸血鬼①~ヴァンパイアの花嫁~
「んー!んー!!」

口にさるぐつわを噛ませられ、
両手を布でくくられ
抱えあげられた。

この男たちの顔を、
沙羅は知っている。

昔から、地主の家に
仕えている使用人たちだ。

落ちるのを覚悟して抵抗し、
どうにか逃れようとするが、
子供と大人では体格も
体力も違いすぎる。

「早く旦那様の下へ…
痛ぇっ!」

「な、何だ!?」

使用人の一人が、
悲鳴を上げ、たたらを
踏んだ。

沙羅を抱えていた男が
驚いて声を上げ、
数人が警戒して
あたりを見回す。
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