モントリヒト城の吸血鬼①~ヴァンパイアの花嫁~
「…もうひとつ、
これは旧友として教えよう。
あの実験で作られた
お前の血から生み出された
喰血鬼は、一匹残らず、
焼け消えた。」

「!」

「数年前の、モントリヒト城の
火事で、オラティオも、
黒幕だったシスターも、
お前の望まぬ血わけで
作られた喰血鬼も
すべて、焼けた。
お前の憂いはもう、
すべて消えているんだ、
ノークス。」

シャディンの話に、
信憑性は、ない。

そう思っていても、
この話がまったくの
でたらめだと否定できる
根拠も、無いに等しい。

この男が嘘をついているとは
ノークスには思えなかった。

シャディンと付き合いが
長いノークスは、この男が
嘘を嫌う性格だと知っている。

この男が、姫乃欲しさに、
でたらめな話でノークスを
たばかろうとしているとは
どうしても思えなかった。
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