モントリヒト城の吸血鬼①~ヴァンパイアの花嫁~
…あの男の目的は…姫乃だ。

雨音の中で漏れ聞こえた
会話から、凍夜は
状況を把握した。

目の前にいるのは、
かつての同胞ではなく、
同じ女を狙う、敵。

状況をほぼ正確につかみ、
沙羅を地におろした
凍夜がその場に
とどまったのは、
シャディンが予想だに
しなかった名前を
口にしたからだった。

「シスター・オラティオは、
お前を裏切っては
いなかった、と知ったら、
お前はこの娘を譲る
気になるのか?」

オラティオ。

ノークスを支配した
天使の祝福を持つ女。

数年前の真相らしき
シャディンの話は、
ノークスをあきらかに
動揺させる。
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