モントリヒト城の吸血鬼①~ヴァンパイアの花嫁~
「これで、お前がこの娘に
執着する理由はないだろう。
この娘は、俺がもらう。
依存は無いな。」

ほぼ一方的に話し終えた
シャディンは、そう言って
姫乃を抱えたまま、
踵を返した。

凍夜は沙羅を残し、
シャディンを
追うよう身構える。

「…我々の獲物、と
言ったでしょう。
凍夜を敵に
回したいのですか。」

そのまま、見逃すかと
思ったノークスは、
しかし、しっかりと
シャディンを見据えて
言い放った。

「凍夜の敵は、僕の敵です。
彼のモノを掠め取ると
いうなら、例え
友人だろうと、
容赦はしない。」

「…そうか。本当に、
仲のいい兄弟だな。
…残念だ。」

凍夜を裏切るという
選択肢を即座に
排除した弟に、
凍夜は微かに
笑みを浮かべた。
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