モントリヒト城の吸血鬼①~ヴァンパイアの花嫁~
昔と違いけっして
表には出さなくなったが、
今も変わらず自分を
慕う弟に、友人と
殺し合うなどという
行為をさせる気は
毛頭ない。

大人しく凍夜に
口をふさがれていた
沙羅の耳に、小声で
耳打ちした。

少し戸惑ったあと、
強い目で沙羅がうなずく。

それを確認した凍夜は、
間合いを取り、
睨みあう二人に向けて、
押さえつけていた
殺気を放つ。

そして、殺気と一緒に、
首根っこを掴まれ、
子猫のように宙に
浮いた沙羅の身体を、
ノークスに向かって
力の限り投げつけた。
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