モントリヒト城の吸血鬼①~ヴァンパイアの花嫁~
「なぜ、キミが降って
くるんですかっ!?」

予想した衝撃の代わりに、
受け止められた
柔らかい反動と、
驚きのこもった
叱責が沙羅に
ぶつけられた。

そろっと目を開ければ、
酷く焦った様子の朔夜が、
抱きかかえた沙羅の顔を
覗き込んでいる。

「あ…の…わたし、
今、なにが…。」

自分の身になにが
起きたのかわからない
沙羅から素早く
視線を外し、
朔夜が叫ぶ。

「凍夜!何のマネですか!!」

叫ぶ朔夜の視線を
たどって、ついさっきまで
隣にいた凍夜を見つけた。

しかし、たった
今までこの場にいたはずの
姉と黒い服の男の姿が
どこにもない。
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