モントリヒト城の吸血鬼①~ヴァンパイアの花嫁~
「!…朔夜様、アレ…。」

しかし、沙羅は朔夜に
何かしらの言葉を
かけるより先に、
警告の声をあげていた。

いつの間にか足もとに
いた二匹の白猫たちも、
威嚇の唸り声をだす。

「…喰血鬼…。」

注意を促され、朔夜も
同じものに視線を注ぐ。

そこかしこから姿を
現した喰血鬼の数は、
軽く十を超えている。

「これはまた、
とんでもない真似を
してくれましたね…。
シャディン。」

おぼつかない足取りで、
ゆっくりと沙羅たちの
もとに集まってくる
その異形の者たちの中に
見覚えのある顔があって、
沙羅は朔夜の
腕の中で固まった。
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