モントリヒト城の吸血鬼①~ヴァンパイアの花嫁~
「やっと、手に入るんだ!
娘の母親も死に、
俺の弟も行方を
くらまし、ようやく
邪魔な護りのほとんどが
消えたのに、横取りなど
させるものか…!」

「十年も前に逃したのなら、
もともとキミには縁のない
相手だったんじゃないの。」

シャディンの熱弁を、
凍夜は心底面倒そうに
その一言で片づけた。

常ならばあまり激しい変化を
見せないシャディンの
形相が、変わる。

「まあ、いいや。
キミが姫乃の父親を
殺したというなら、
姫乃にとってキミは
親の敵というわけだ。」

「!」

「ノークスの手前、
殺す気はなかったけど…。」

ぞわりと、先ほどより更に
熾烈な殺気が凍夜から溢れる。
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