モントリヒト城の吸血鬼①~ヴァンパイアの花嫁~
もはや常軌を逸している
その行為に気付いた
凍夜が、すんでのところで
剣を振るい、止めた。

姫乃の口に運ばれた手は、
漆黒の剣に切り飛ばされ
、転がって地面を
赤く染める。

激痛による悲鳴を上げて、
それでもなお姫乃に
血を飲ませようとする
シャディンを、
凍夜は力の限り
蹴り飛ばす。

そうして、姫乃を
もっとも安全な
自身の腕に抱え込んだ。

「よくも、欲した女に
そんな真似ができる
ものだね…。」

最大級の侮蔑と
嫌悪を込めて
そう吐き捨て、
凍夜はシャディンの
胸を踏みつける。

耳障りな、骨の
砕ける音とともに、
シャディンが
くぐもった悲鳴をあげた。
< 416 / 726 >

この作品をシェア

pagetop