モントリヒト城の吸血鬼①~ヴァンパイアの花嫁~
東雲を維持できなく
なるほどに。
意識を失って倒れるほどに。
…血が、足りないのだ。
食事をしていない凍夜は、
餓死しかけている。
何か、鋭いモノは
ないかと探る手に、
痛みが走った。
触れたものをつかむと、
姫乃の手を傷つけたのは
ペーパーナイフだった。
急いで凍夜の
もとに戻り、跪く。
苦心して凍夜を
仰向けにさせ、
痛みも厭わず自分の
手首に切っ先を走らせた。
紅い雫が、ぽとりと
こぼれる。
凍夜の口元に切り傷を
あてがい血をこぼすが、
凍夜の口内まで届かない。
じれったくなった姫乃は、
血の滴る腕に自身の唇を
押し付けた。