モントリヒト城の吸血鬼①~ヴァンパイアの花嫁~
風邪をひかせる前に姫乃を
着替えさせなければ、と
思いながら、自分の部屋に
入ったのも、覚えがある。

そして、姫乃をベットに
おろそうとしたところで、
急激な眠気に襲われた。

抗うこともできず、
その場に崩れ落ち、
そして、死を覚悟した。



…なのに。



惚れた女に醜態を
さらした事実が、
酷く凍夜を苛立たせた。

姫乃は、空腹で動くことすら
ままならない凍夜に、
口移しで血を与えた。

姫乃がいつもどおりに
なるまで絶対に
のまないと決めていたのに、
図らずもその血を、
凍夜は取り込んでしまった。
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