モントリヒト城の吸血鬼①~ヴァンパイアの花嫁~
「なによ!…好きな人が
死にかけてるのに
何もしないでいられる
わけないじゃない!
心配して何が悪いの?
余計なことして
何が悪いのよ!!」

予想外の姫乃の告白に、
嬉しいと感じるより
先に理不尽な憤りが
溢れた。

「…っ…!それなら
どうして僕を拒んだ!」

初めて怒鳴り返した
凍夜に、姫乃が怯む。

「僕を拒んでおいて、
勝手なことを言うな…!」

「…っ!」

二の句を継げない姫乃の
引き結ばれた唇から、
声の代わりに
僅かな血がこぼれた。
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