モントリヒト城の吸血鬼①~ヴァンパイアの花嫁~
「特別じゃないなら、
いらない!もう、
これ以上好きに
なりたくない!
無理に優しくされなくても、
ちゃんと、餌でいるわ…
だから問題ないでしょう?
もう、食事以外で
わたしに触らないで!」

「姫…。」

「わたしと同じように
優しくされた女が
許せないの!」

抑制のきかなくなった
姫乃は、凍夜の言葉など
聞こうともしない。

「凍夜が気に入った
餌になら、誰にでも
同じように優しく
すると思うと、
心の中が真っ黒になって、
吐き気がするの!
こんな汚い自分なんて、
知られたくなくて、
だから、もう触られたく
なかったの!!
それが理由よ、
聞いて満足した!?
お願いだから…もうっ、
っわたしにっ…―!」

「…。」

最後の方は、嗚咽に
消されて、ほとんど
聞きとれなかった。
< 435 / 726 >

この作品をシェア

pagetop