モントリヒト城の吸血鬼①~ヴァンパイアの花嫁~
…それはつまり、わたしが二人を殺そうと
するような人間に見えないってことよね?

凍夜の言動を賛辞ととって、姫乃は
嬉しいような、恥ずかしいような気分に
なって俯く。

凍夜の後ろに控えていた少年が、
ノークスの座っていた席を片づけるのが
ちらりと見えて、恥ずかしいのを
紛らわすように尋ねた。

「あの、その子は?」

「?」

「その子も吸血鬼なの?」

「…わたしは吸血鬼ではありません。」

「じゃあ、人間…?まさか、どこかから誘拐…?」

「違います。」

じゃあ、何だというのか。

「わたしは、マスターの従僕です。」

…それでは余計わからない。

困惑する姫乃を凍夜がこちらへ来るように促す。

素直に従った姫乃が凍夜に隣に立つと、
凍夜は自分の指を少し傷つけ、
こぼれだす血液ごと少年の口の中へ
ねじ込んだ。
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