モントリヒト城の吸血鬼①~ヴァンパイアの花嫁~
本当は、支えが必要なほど
体調が悪いわけでは
なかったが、懐かしい
腕に抱かれるのは
とても気持ちよくて、
姫乃はされるに任せた。

その腕の中のぬくもりに、
いつの間にか
止まっていた涙が
またこぼれそうになる。

食事が終わってしまうと、
姫乃は突然恐怖を
感じはじめた。



…どう思われたのだろう。



あまりにも無様に
取り乱した姿は、
彼を失望させただろうか。

事あるごとに、
可愛いと言ってくれた、
その口に、蔑みの
言葉を告げられるのが、
とにかく怖い。

嫉妬深く、分を
わきまえない餌を
一体どんな目で
見ているのか。

そう考えると、
どうしても凍夜の
顔が見れない。
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