モントリヒト城の吸血鬼①~ヴァンパイアの花嫁~
今になって、凍夜は
リターチという名の
出所に思い至った。
あの夜のノークスと
凍夜の会話を、
彼女は聞いて
いたのでは
ないだろうか。
それも、よりにもよって、
ノークスの皮肉だけを。
「…リターチは…。」
まず、なにから
弁明するべきかと
迷いながら、かつて
殺めた女の名を
口にすると、
姫乃はあからさまに
話を遮った。
「わたし、ちょっと
貧血気味みたい。
もう、いいでしょう?」
無理に笑って、
そそくさと凍夜から
離れようとする。
「部屋で、休むから…。」
「ここでも、休めるよ。」
痛ましげな笑みを
浮かべたままの
姫乃の腕をつかむ。
姫乃は、やんわりと
凍夜の手から
逃れようと抵抗する。
リターチという名の
出所に思い至った。
あの夜のノークスと
凍夜の会話を、
彼女は聞いて
いたのでは
ないだろうか。
それも、よりにもよって、
ノークスの皮肉だけを。
「…リターチは…。」
まず、なにから
弁明するべきかと
迷いながら、かつて
殺めた女の名を
口にすると、
姫乃はあからさまに
話を遮った。
「わたし、ちょっと
貧血気味みたい。
もう、いいでしょう?」
無理に笑って、
そそくさと凍夜から
離れようとする。
「部屋で、休むから…。」
「ここでも、休めるよ。」
痛ましげな笑みを
浮かべたままの
姫乃の腕をつかむ。
姫乃は、やんわりと
凍夜の手から
逃れようと抵抗する。