モントリヒト城の吸血鬼①~ヴァンパイアの花嫁~
「…僕は、別に、
他の女の血なんて
飲みたくない。」

「凍夜…。」

真剣にそういうと、
姫乃は抵抗するのを
やめた。

…少しは誤解が
解けたかと思ったが。

「…ごめんなさい。
あの、気を使わせて…
無理にわたしの血で
我慢しなくて大丈夫よ。」



だめだ。

さらに、誤解が
深まった。



「無理なんかしていない。
僕はキミの血が、いい。」

「そうよね…。
あんな取り乱した後じゃ、
気を使うなって
言うのは無理よね。
本当にごめんなさい。」


全く、伝わりそうも
ない。

なにか言えば言うほど、
姫乃はさらに誤解を
深めていく気がして、
凍夜は言葉を見失った。

「あの、凍夜。もう、
休みたいんだけど…。」

「…そうだね。」

頷いておきながら、
凍夜は姫乃の
腕を離せない。
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