モントリヒト城の吸血鬼①~ヴァンパイアの花嫁~
「!?」

突然の予期せぬ行動に戸惑う姫乃。

「あ…。」

少年が凍夜の血を飲み干す音が
聞こえたかと思うと、突然全身が赤く
染まりその身が崩れた。

緋色に染まった少年だったモノは
瞬く間に大量の血液を思わせる液体に変わり、
すぐに凍夜の手の上で硬質な物体に変じる。

「…剣…?」

凍夜の手に握られたのは、
黒い色の剣だった。

「…きれい…。」

姫乃の口から感嘆の声がこぼれる。

ただの黒ではない。近づいて覗き込めば、
その刀身の奥の色は鮮血を可能な
限り凝縮したような緋。

形はシンプルだが、柄には細かい
彫刻が施されている。

「…正体は剣のお化けなのね。」
「違う。」

姫乃が笑顔でそういうと、あきれ顔で
凍夜が即否定した。
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