モントリヒト城の吸血鬼①~ヴァンパイアの花嫁~


どれほど時間がたったかは
分からないが、ふと、
凍夜は言葉を切った。

姫乃の感覚では
数時間が立ったような
気がしたが、
居心地の悪さに
そう感じただけかも
しれない。


…やっと、気が
すんだのだろうか。


そう思って、もう
何度目かもわからない
まま視線を上げた。

言葉を切った凍夜は、
じっと、姫乃を
見つめていた。

視線が合いそうになって、
姫乃は慌てて下を向く。

もう、隠しごとも
ないのだから、
別に目があっても
困ることはないのに。

思い直して、
挑む気持ちで凍夜に
視線を戻すと、
いきなり姫乃は
凍夜に両腕を掴まれた。
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