モントリヒト城の吸血鬼①~ヴァンパイアの花嫁~
「!?な、なに?」

「…姫乃。」

「え、な…なに?」

「姫乃。」

「…?」



名前を、呼ばれる。



返事をしても、
凍夜は繰り返し、
名前を呼んだ。

まるで、先ほどの
続きのようで、
姫乃の心臓の音は
うるさくなる。




その、声が。




目が。




表情が。




酷く、切なげで。




今まで告げられた
どの言葉より、
求められている
ような気になってしまう。


耳をふさいで
しまいたいのに、
凍夜に掴まれた
腕はびくともしない。
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