モントリヒト城の吸血鬼①~ヴァンパイアの花嫁~
「これは、全部僕の血。僕たちは血で
分身をつくって従僕として使う。」

「…。もしかして、この屋敷の中で
見かけた女の子たちも…?」

「そう。それはノークスの従僕だけどね。
彼はどの吸血鬼より従僕を操る術に
長けているから。」

「…あなたよりも?」

姫乃の素朴な疑問に凍夜が
不機嫌そうな顔をする。

「僕にできないことなんてないよ。
僕はこの一体以外、必要がないだけだ。」

「…凍夜って、負けず嫌いでしょう。」

先ほどの兄弟ゲンカのときのように、
姫乃は思わず笑ってしまう。

「もう、部屋にもどったら。」

機嫌を損ねたらしい凍夜はムスッと
したまま席を立つ。

凍夜が剣を一振りすると、剣は先ほどの
少年の姿に戻った。

姫乃を部屋に戻すように指示された
少年に促され、好奇心の
満たされた姫乃は大人しく
ついていこうとする。
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