モントリヒト城の吸血鬼①~ヴァンパイアの花嫁~
勘違いとは別の羞恥で
真っ赤になった
姫乃の唇が、
凍夜の唇に
一瞬触れてすぐに
離れる。

凍夜にされたのとは
違う子供のようなキス。

それだけでいっぱい
いっぱいの姫乃に、
凍夜がからかうように
言った。

「次は、がんばって
僕がしたようにしてよ。」

「…無理…。」

あんな、激しいのを
自分からするとか。

絶対恥ずかしくて
できない。

姫乃の行動も態度も
予想通りで満足した
らしい凍夜は、
先ほどとは打って
変わった穏やかな
表情で、姫乃を
抱き寄せた。

恥ずかしさの余韻を
残しながらも、
大人しく姫乃が
凍夜の胸に頭を寄せると、
凍夜は話を続けた。
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