モントリヒト城の吸血鬼①~ヴァンパイアの花嫁~
「…僕が直接殺した
人間の女は三人いる。
リターチはその
一人だった。」

彼女が姫乃より
特別だったわけでは
ないが、その三人に
対して多少なりとも
情があったことは
否定しない、と
凍夜は言う。

リターチは、政略結婚の
ために父に婚約者を
殺され、死を望んだ。

別の一人は、
病に侵され、
苦しまずに
死にたいと言った。

「…もう一人は…?」

話の流れというべきか、
場の雰囲気というべきか。

なんとはなしに
姫乃がたずねると、
凍夜は微かに、
言い淀んだ。
< 466 / 726 >

この作品をシェア

pagetop