モントリヒト城の吸血鬼①~ヴァンパイアの花嫁~
六章
郷愁―ノークス
その女に会ったのは、
凍夜の餌を確保するために
忍び込んだ修道院の奥の、
ずいぶん人目に
つきにくい部屋だった。
怯えるでもなく、
驚くでもなく、
彼女は忍び込んだ
ノークスに話し
相手を求めた。
最初の印象は、
わりと好みの女。
緩やかに流した
淡い栗色の髪に、
いかにも箱入りと
いった色白で
華奢な体躯。
整った容姿を包む
儚げな雰囲気は、
彼女が望まぬ場所に
いなければならないと
いう不自由さから
醸し出されているのだと、
幾度目かの逢瀬で
きいた身の上話が
納得させた。
ただ、一日十数分程度の、
会話を交わすだけの関係。
いや、会話ですら
ほとんど交わさずに
そこにいるだけで
過ごすこともままあった。
凍夜の餌を確保するために
忍び込んだ修道院の奥の、
ずいぶん人目に
つきにくい部屋だった。
怯えるでもなく、
驚くでもなく、
彼女は忍び込んだ
ノークスに話し
相手を求めた。
最初の印象は、
わりと好みの女。
緩やかに流した
淡い栗色の髪に、
いかにも箱入りと
いった色白で
華奢な体躯。
整った容姿を包む
儚げな雰囲気は、
彼女が望まぬ場所に
いなければならないと
いう不自由さから
醸し出されているのだと、
幾度目かの逢瀬で
きいた身の上話が
納得させた。
ただ、一日十数分程度の、
会話を交わすだけの関係。
いや、会話ですら
ほとんど交わさずに
そこにいるだけで
過ごすこともままあった。