モントリヒト城の吸血鬼①~ヴァンパイアの花嫁~
ノークスはそれを
知っていたから、
天使の祝福の抗いがたい
力に嫌悪しながらも、
彼女を突き放すことは
一切しなかった。



なのに。



裏切られたと、
思ってしまった。




苦痛を与える結界の中で、
保つことのできない
意識の中で。

女たちの会話を
聞いていたのに。

おそらく、母親
代わりであろう
シスターに、
必死に食い下がる
彼女の声が、
記憶の片隅から蘇る。

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