モントリヒト城の吸血鬼①~ヴァンパイアの花嫁~
…なんということを
したのだろう。


信じて、やれなかった。


たった一度。

捕えられた後に
彼女と視線を交わす
機会があった。

話す自由さえ
奪われたノークスは、
あらん限りの
憎悪を視線に込めて、
彼女に突き刺した。


絶望に満ちた、
あの顔が頭から
離れない。


罪悪感で、
胸が苦しい。


誤解だったと謝ることも、
凍夜を手引きして
助けてくれた礼を
言うことも、
もうできない。


あまつさえ、
彼女によく似た
容姿の姫乃。

何の罪もない彼女を
誤解に満ちた復讐心の
はけ口にしようと
したことが、
ノークスの罪悪感を
一層強めた。
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