モントリヒト城の吸血鬼①~ヴァンパイアの花嫁~
東雲のいうとおり、
顔色が悪かったのなら
姫乃の血が必要に
なるだろう。

それに、姫乃と凍夜が
ケンカしている間、
ノークスはだいぶ
姫乃の事を心配して
いてくれたように思う。

さりげなく姫乃の
体調や心中を
気づかって、いろいろ
世話をやいてくれた。

何度か、姫乃のために
お菓子を焼いてくれたし、
以前は好ましくないと
速攻で取り下げられた
もう少し控えめな
ドレスをという要望も、
気がつけばここ数週間で
すべて叶っている。

ちゃんと、凍夜と
仲直りしたことは
報告しないと申し訳ない。

「…人の部屋の前で
座り込んで、新手の
嫌がらせですか。」

ため息と嫌味の
混ざった声に、
姫乃は慌てて
立ちあがった。

「ノークス!」

「こんなところで
何をしているのです。」

「東雲に、顔色が
悪いって聞いたわ。
血が必要かも
しれないと思って、
待ってたの。」

「…。…律儀な
ことですね。」

「そのために
わたしはここに
いるんだもの。」

部屋の鍵を開け、
ドアを押して
部屋の中へと
促される。
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