モントリヒト城の吸血鬼①~ヴァンパイアの花嫁~
「…。そういえば、
ノークス、あなた一体、
どこに行ってるの?」

食事中は、じっと
していなければ
ならないので、
どうにも暇だ。

いつもは凍夜と
ノークス、二人一緒に
食事をするから、
どちらか片方が
話し相手に
なってくれる。

だけど、一人だけだと
そういうわけにも
いかない。

相手が凍夜なら、
ただ黙って過ごす
時間ですら嬉しくて
黙って大人しくして
いられるけれど、
ノークス相手だと
どうにも退屈に
感じてしまう。

愛撫もなく始まった
食事だから姫乃の
頭は普段どおり
しっかりした状態で、
ふと、思いついた
疑問が口をついた。

「凍夜はあなたが
子供の世話に
忙しいとかいってたけど、
そんな頻繁に会いに
行くなんて…―。」

そこまで言って、
姫乃はある可能性に
思い至って
言葉を切った。
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