モントリヒト城の吸血鬼①~ヴァンパイアの花嫁~

暴挙―姫乃

「ミャア。」

可愛らしい猫の声に、
机の上に視線を
向けると、先ほどまで
赤黒い球体の
あった場所に
白い猫が至福そうな
様子で寝そべっていた。

「…あなた達の仕組みって
本当に不思議で
おもしろいわよね。」

「なにがです。」

必要な量の食事を
終えたノークスが
顔をあげた。

「ほら、わたしの血を
飲んだら天明、元気な
猫の姿になったでしょう?
凍夜と東雲も、
凍夜がわたしの
血を飲んだ途端に
東雲が元気になったの。」

「従僕は僕たち
自身ですからね。」
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