モントリヒト城の吸血鬼①~ヴァンパイアの花嫁~
「いいえ。
もう十分ですよ。」

「具合、悪いの?
なんだか…いつもより、
元気がないような
気がするんだけど…。」

「…。そうですね。
いつもより心中が
穏やかでないことは
否定しませんよ。」

「…なにか、
あったの?」

「…。」

姫乃の問いに、
ノークスは黙りこんだ。

返事の代わりに
姫乃の前に
差し出された
手のひらが、
姫乃の肩を軽く衝く。

姫乃はバランスを
崩してソファーに
倒れ込んだ。

「…凍夜は…。」

驚き、慌てて体を
起こそうとするが、
ノークスが話し
始めたのでつい
動きを止める。

そのすきに、
肩を押さえつけられ、
片腕を掴まれた。
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