モントリヒト城の吸血鬼①~ヴァンパイアの花嫁~
この一週間でわかったのは、
この建物が姫乃の住んでいた村の
近くにあるらしいということ。

ノークスを苦手に思う姫乃は
基本的に彼の入ってこないこの部屋と、
凍夜が一緒にいてくれる食堂しか
行き来をしないので詳しくはわからないが、
外に出てしまいさえすればあとは
どうにかなる気がしていた。

気付かれない様に行って、
戻ってくる、それだけ。

凍夜の話では、昼間太陽が
一番高くなる時分になると
吸血鬼は倦怠感を感じて
眠くなるらしい。

今は真昼間だから、あの二人は
睡眠をとっているはずだ。

ドアをぐっと押しあけると、
廊下には誰もいない。

凍夜に対する強い罪悪感を感じて、
ドアにかけた手が少し震える。
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