モントリヒト城の吸血鬼①~ヴァンパイアの花嫁~

暴挙―凍夜

「…?」

読みかけの本を
開いて数ページも
しないうちに、
凍夜はなんとなく
顔をあげた。

「どうかなさいましたか、
マスター。」

そばでお茶を入れていた
東雲の問いかけに
なんでもないと
答えて視線を
本に戻したものの、
どうにも落ち着かない。

「…お嬢様がそばに
いらっしゃらない
せいでは?」

まるで凍夜の
心中に答えるような
東雲の言葉に、
いささかムッとして
再び凍夜は顔をあげた。
< 500 / 726 >

この作品をシェア

pagetop