モントリヒト城の吸血鬼①~ヴァンパイアの花嫁~
「好きです。マスターが
不慮の死を遂げられたら、
あの方に仕えますので、
可能な限り魔力を
残してください。」

予想以上の解答に
思わず噴き出した。

主の死後を見据えた
物言いは、もう
あきらかに人の
思考と大差ない。

そもそも、主人に
自身の要望を伝える
従僕など見たことも
きいたこともない。

「そうだね。そう
簡単に死ぬつもりは
ないけど、もし
そうなったら、
残せるだけ
残してあげるよ。」

どうやって残せば
いいかは知らないが。


ダァンッッ!!


唐突に、何かが
ドアにぶつかるような
衝撃音が室内に響いた。

「!?」

一拍置いて、
ドンドンと拳を
打ち付ける音が続く。
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