モントリヒト城の吸血鬼①~ヴァンパイアの花嫁~

母親の死―凍夜

酷い吐き気とめまいに
襲われながら、
凍夜は自室のドアを
開けた。

まっすぐ部屋を横切り、
抱きかかえた姫乃を
ベットに下ろした
ところで、限界に
達してそのまま
倒れ込む。

「凍夜っ…!」

かすれた声で姫乃が
呼んだが、声を
出すのもはばかられる
ほど具合が悪い。

どうにか首だけを
動かして、返事の
代わりに視線で応えた。

怖い思いをしたせいか、
顔色が青ざめた
姫乃に寄り添いたくて
手を伸ばすが、
それが精いっぱいだった。

完全に魔力に
充てられた体は、
少し動かしただけで
悪酔いしたかのように
吐き気を誘う。
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